クラウドPBXは、業務効率化やコスト削減につながるクラウドサービスです。多彩な機能でビジネスフォンの利便性を高められることから、多くの企業で導入が進んでいます。
しかし、クラウドPBXの導入によって、セキュリティや通話品質の面でデメリットが生じる場合もあります。問題が起きた場合の適切な対処法について知り、次世代のビジネスフォンを賢く活用するとよいでしょう。
この記事では、クラウドPBXの代表的なデメリットとその対処法、メリットやおすすめのサービスなどについて解説します。
クラウドPBXの基礎知識として、概要と利用するメリットを解説します。
クラウドPBXとは、クラウド上にあるPBX(構内交換機)機能を、ネットワーク経由で利用できる電話サービスです。
なお、PBXは通話制御装置・機能として、以下のような処理を行ないます。
従来、オフィスで利用されていた固定電話(ビジネスフォン)では、自社拠点に物理的なPBX装置を購入・設置していました。それに対してクラウドPBXでは、インターネット接続環境があれば初期構築費用をかけず、すぐに利用が開始できます。
クラウドPBXは、従来のビジネスフォンのような設置工事などが不要で、スピーディーに導入できることがメリットの一つです。さらに、初期導入にかかる費用が抑えられる、インターネット接続できる環境があればすぐに利用開始できる、といった利便性の高さから注目されています。
また、クラウドPBXはインターネット環境があれば、場所や接続端末を選ばずに利用することが可能です。クラウドPBXを利用すれば、社員が私用端末や業務用端末として使っているスマートフォンを内線化でき、スマートフォンから固定電話と同じように会社の代表番号での受発信ができます。
特に、近年は働き方改革が進められてテレワークが普及し、自宅や外出先からの電話利用が多くなりました。その際の有効手段としてクラウドPBXが注目を集め、多数の企業で導入が進められています。
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ここからは、クラウドPBXを利用することによって得られるメリットを8つ紹介します。
クラウドPBXでは、インターネット上に仮想的に設置されたPBXにより外線や内線が利用できます。インターネットがつながる場所でさえあれば、外出中も代表番号による電話対応ができる点が大きなメリットです。
従来のビジネスフォンの場合、会社の代表番号にかかってきた電話にはオフィスにいなければ出られませんでした。
外出中の社員が折り返さなければならなかったり、担当者が不在で機会損失につながったりと、従来型では何かと不利益が生じました。
一方、クラウドPBXならスマートフォンから会社が持つ固定電話番号での発着信が行なえます。外出中やリモートワークをしているときも、代表番号にかかってきた電話を直接受けることが可能です。
また、スマートフォンから代表番号で外部に電話をかけるなど、受発信業務をスムーズに行なえることが魅力です。働き方が多様化している時代において、クラウドPBXは必須のツールといえるでしょう。
クラウドPBXの内線通話は、従来のビジネスフォン同様に無料で利用できます。従来の方式と異なるのは、離れた拠点同士でも内線が使える点です。
離れた拠点間で通話をする場合、従来のビジネスフォンでは有線でつながっていないため内線が使えませんでした。一方、インターネット上に仮想のPBXを設置するクラウドPBXであれば、インターネットに接続可能なすべての端末同士で内線が使えます。
離れた拠点間だけでなく、外出先の営業担当者やリモートワーク中の事務員など、すべての社員が無料の内線で通話可能です。
このように、クラウドPBXなら働く場所にかかわらず内線を使えるため、社員同士は外線でやり取りする必要がありません。社員同士の通話が無料になるので、大幅なコストカットにつながります。
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従来のビジネスフォンでは、導入時にPBX機器の設置や配線工事が必要でした。さらに、デスクごとに設置する電話機も購入する必要があります。導入するだけで数十万~数百万円もの費用が発生する点は、ビジネスフォンの大きなデメリットです。
一方、クラウドPBXはインターネット環境さえあれば利用できます。物理的にPBXを設置する必要がなく、当然配線工事もないため初期費用を大幅に削減可能です。
電話端末についても、パソコンや従業員のスマートフォンなどが使えます。スマートフォンにアプリをインストールするだけで、会社の代表番号での発着信が行なえるようになります。
クラウドPBXなら電話機をあらためて用意する必要がないため、余計なコストがかかりません。
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クラウドPBXは、少ない人数でビジネスフォンを利用できることも魅力の一つです。先述のとおり、クラウドPBXは従来のビジネスフォンに比べて初期費用を安く抑えられます。そのため、スモールスタートでも気軽に導入でき、便利にビジネスフォンを使えます。また、導入前に無料トライアルで使い勝手を試すことも可能です。
後述しますが、クラウドPBXは契約数の変更も簡単です。小規模から利用を始めた場合でも、事業規模が拡大した際などに柔軟に対応できるでしょう。
従来のビジネスフォンでは、会社の代表番号への着信に社外で対応する場合、転送する必要がありました。転送すると、会社側で通話料を負担する必要が生じます。相手からの着信であっても通話料を負担しなければならなくなり、頻度によってはコストが非常にかさむことになります。
一方、クラウドPBXなら代表番号に社外で対応する際も転送する必要がありません。外出中の社員に電話を転送する際も内線が使えるため、転送通話のコストが会社の負担にならないというメリットがあります。
また、先述のとおり拠点間の通話も内線で済むため、従来のPBXより通話料を抑えられます。このように、余分なコストをカットできることもクラウドPBXの大きな魅力です。
クラウドPBXでは、内線通話などのビジネスフォンにおける基本的な機能に加え、便利な機能も利用できます。クラウドPBXならではの機能として、インターネットFAXやCTI連携、ビジネスチャットなどが挙げられます。
インターネットFAXは、スマートフォンでFAXの送受信を行なったり、データをスマートフォンから確認したりできる機能です。CTI連携は顧客からの受電があった際、インターフェース上に顧客情報が表示される機能で、顧客対応の品質向上に役立ちます。
また、ビジネスチャットの機能があれば、音声だけでなくテキストでもほかの社員とコミュニケーションが取れます。
クラウドPBXはこれらの多彩な機能が利用可能で、ビジネスフォンによる業務の効率化が図れます。
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従業員が増減した際などに、簡単に契約数を変更できることもクラウドPBXのメリットの一つです。
従来のビジネスフォンでは、端末の増設や移設だけでなくオフィスのレイアウトを変える際にも、配線工事や設定の変更が必要でした。対して、クラウドPBXなら管理画面でアカウントの追加・削除や設定などを変更するだけで済みます。
オフィスのレイアウトも自由に変更可能で、手間やコストがかからない点が魅力です。オフィスをフリーアドレス化したい場合にも、クラウドPBXが役に立ってくれます。
また、クラウドPBXではオフィスに物理的なPBXを設置する必要がありません。そのため保守担当者の負担が軽くなり、ほかの業務に注力できるようになるでしょう。
BCPとは、災害発生時などの緊急事態における企業の事業継続計画のことです。
BCPの策定により危機的な状況における被害を最小限に抑え、重要な業務を継続することが、企業の価値を維持することにつながります。
内閣府が発行する「事業継続ガイドライン」でも、BCPの策定が強く推奨されています。
災害などの緊急事態が起こった際に、従来のビジネスフォンでは配線設備が破損すれば通話ができなくなるでしょう。クラウドPBXの場合、インターネットさえつながる状態であれば問題なく通話できます。
また、オフィスに出社できない状況でも、インターネットを経由して社員同士でスムーズにコミュニケーションを取ることが可能です。災害や緊急事態に強いクラウドPBXの導入は、効果的なBCP対策だといえます。
クラウドPBXを導入・運用するうえで注意したい4つのデメリットと、それぞれがビジネスへ与える影響・リスクを解説します。
クラウドPBXはインターネット回線を利用するため、通話音質はインターネット回線の通信環境に依存します。アナログ回線でビジネスフォンを利用していた場合と比較すると、インターネットの利用状況や性能によっては通話音質が悪化してしまう可能性がある点に注意しましょう。
例えば、多くの人がインターネットを利用する時間帯に通話をする場合や、通話中に大容量ファイルのダウンロード・アップロード、Web会議などを実施している場合は、通話音声が途切れる・遅延するなど通話品質の悪化につながることが考えられます。
また、利用するクラウドPBXベンダーやサービスによっては音質が悪い場合もあるでしょう。音質を重視する場合には、通話品質に強みを持つサービスを選ぶことが大切です。
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利用するクラウドPBXや電話番号の種別といった条件により、電話番号の引き継ぎができない可能性があります。
例えば、クラウドPBXで利用できる電話番号としては、市外局番(0AB-J型)、フリーダイヤル(0120や0800)、IP電話(050)などがありますが、すべての番号が引き継いで利用できるわけではありません。
現在利用中の電話番号があり、クラウドPBXを導入・運用したあとも同じ電話番号を継続して利用したい場合は、あらかじめ電話番号の引き継ぎが可能かの確認が必要です。
法人で利用している電話番号が変更されてしまうと、Webサイトでの周知や名刺・各種資料の再作成など、お客様や取引先に対して電話番号の変更を伝える手間がかかるので注意しましょう。
クラウドPBXでは、ログインデータや電話帳データなどの機密データがクラウドベンダーのデータベース上に保存されることになります。クラウドベンダーも自社サービスの安心と品質を守るため、それぞれに強固なセキュリティ対策を実施しているものの、サイバー攻撃やマルウェア感染などによる情報漏えい、情報の消失・改ざんのリスクがないとはいえません。
リスクを抑えるには、「多くの利用実績を持っている」「万が一の場合も手厚いアフターフォローが受けられる」など、セキュリティ面で信頼できるクラウドPBXを選択することが必要です。
ビジネスフォンのように、自社拠点に物理的なPBX装置を設置するオンプレミス型の仕組みでは、自社の利用用途に合わせてシステムを自由にカスタマイズすることが可能です。
対してクラウドPBXでは、クラウドベンダーが提供する機能を利用するため、クラウドPBXの利用規約や提供機能による制約を受ける場合があります。そのため、利用したい機能や条件を明確にしたうえで、自社のニーズに合ったクラウドPBXを選択する必要があるでしょう。
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クラウドPBXは、IP電話タイプと光電話タイプの2種類に大きく分けられます。IP電話タイプでは050などの番号を、光電話タイプでは03や06などといった市外局番の番号を使います。
このうち、IP電話タイプのクラウドPBXでは発信できない番号がいくつかあるので注意が必要です。
IP電話タイプで発信できない番号は、「110」や「119」などの緊急ダイヤルです。IP電話は発信者の位置情報が特定できません。緊急通報を受けたとしても適切な対応ができないため、そもそも発信できない仕組みになっています。
その他、ナビダイヤルの「0570」やフリーダイヤルの「0120」などにも発信できません。IP電話タイプのクラウドPBXを導入する際は、発信できない番号があることを社員に周知しておくことが大切です。
クラウドPBXでは、1回線につき1,000~3,000円程度の月額利用料を毎月払う必要があります。月額利用料は使う回線の数が増えるほど高くなります。例えば、1回線当たり2,000円のサービスで50回線利用する場合、毎月発生する利用料金は10万円です。
さらに、外線利用料やオプション費用などが別途発生します。従来のビジネスフォンに比べるとコストを抑えやすいとはいえ、ランニングコストがかかる点には注意が必要です。
前述で紹介したクラウドPBXのデメリットは、適切な対策を講じることによりある程度回避することができます。ここからは、クラウドPBXのデメリットに対処する方法について5つ紹介します。
クラウドPBXの通話品質は、サービスごとにばらつきがあります。安定した通話品質を求める場合には、一定の基準をクリアしているサービスを利用することがおすすめです。
具体的には、総務省通話品質基準で「クラスA」を獲得しているサービスを選ぶとよいでしょう。ただし、通話品質は利用する環境などにも左右されるため、無料のトライアルやデモンストレーションで実際に通話し、品質を確かめておくことが賢明です。
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クラウドPBXを導入する際、サービスによっては現在の電話番号を引き継げない可能性があります。
会社の電話番号を引き継げない場合、さまざまな面で不利益が生じます。顧客や取引先に電話番号の変更を周知する手間などもかかるため、現在の電話番号を引き継げるサービスを利用するとよいでしょう。
検討しているクラウドPBXのベンダーに問い合わせ、現在の番号がそのまま使えるか確かめてみることをおすすめします。
クラウドPBXのセキュリティリスクを低減するために、自社でもセキュリティ対策を行なうことが大切です。セキュリティの強化策として、ファイアウォールの適切な設定などが挙げられます。
また、社員のセキュリティ意識を高めることも効果的な対策の一つです。情報リテラシー教育などを実施し、社員の不注意による情報漏洩などのインシデント発生を防ぐといった施策を打つとよいでしょう。
クラウドPBXの通話品質に不安を覚える場合は、インターネット環境の整備を検討することもおすすめです。
クラウドPBXではインターネット回線を利用して通話を行ないます。そのため、通信速度が高速で安定したインターネット回線を導入すれば、通話の品質は安定しやすくなります。
通話品質の高さに定評があるサービスを選んだうえで、高速通信が可能な安定したインターネット回線を利用すれば、万全の体制といえるでしょう。
クラウドPBXを導入するとランニングコストがかかるため、節約も大切なポイントです。各サービスのコストパフォーマンスを確認し、自社に合ったサービスを選定するとよいでしょう。
サービスを選ぶ際には、まず必要な機能の優先順位を付けておきましょう。さまざまな機能を提供しているサービスもありますが、使わなければ意味がありません。最低限必要な機能が備わっており、なおかつ費用もリーズナブルなサービスを選ぶと、ビジネスフォンのコストを削減しやすくなります。
クラウドPBXはどの事業者にもおすすめのサービスですが、特に業務効率の向上につながりやすいケースもあります。ここからは、クラウドPBXが役に立つ事業者の特徴を3つ紹介します。
事業拠点が多く、それぞれの場所が離れている企業は、クラウドPBXの内線が役に立ちます。従来のビジネスフォンでは、拠点同士の通話に内線が使えず、通話料が発生していました。しかし、クラウドPBXなら内線を使って無料でコミュニケーションをとることができます。
また、病院や工場など、敷地が広大な場合にもクラウドPBXの導入がおすすめです。スタッフや従業員が敷地内でスマートフォンを持ち歩けば、どこでも通話ができます。
従業員の外出やテレワークの頻度が高い場合も、クラウドPBXを有効活用できます。オフィスの外にいても会社の代表番号により電話ができることは、クラウドPBXの大きなメリットです。
会社にかかってきた電話を外出中の社員に転送することも簡単なため、転送業務のために社内のリソースを割くこともなくなります。また、外出中やテレワーク中の社員への転送も内線扱いになるため、転送通話料も不要です。営業での外出やテレワークの比率が高い場合、クラウドPBXが使いやすいことを覚えておきましょう。
コールセンターなどのオペレーター業務にもクラウドPBXは向いています。コールセンターにクラウドPBXを導入すると、オペレーターの増減に応じて回線数を簡単に調整できます。
また、インターネット回線を使用するクラウドPBXでは、CTI連携も利用可能です。電話をかけてきた顧客の情報が画面上に表示され、オペレーターはその情報に基づいて丁寧な接客ができるようになります。
さらに、クラウドPBXは通話の場所を選ばないため、テレワークでのオペレーター業務も実現可能です。
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クラウドPBXとビジネスフォンの違いを比較!導入が向いている企業はどんな企業?
クラウドPBXの導入時には、業務効率化やコスト削減のメリットばかりに目が向いてしまい、デメリットの確認・解決があと回しになりがちです。
クラウドPBXの導入・運用を失敗しないためには、デメリットの内容も踏まえて利用目的に合ったクラウドPBXを選びましょう。 クラウドPBX選定時には以下のような観点で複数のサービスを比較し、自社の利用条件や要件に合致するサービスを選びましょう。
また、通話品質や使い勝手は、実際に利用しなければ判断できません。本格的にクラウドPBXを導入する前に、無料トライアルやデモンストレーションを利用すれば、導入後の大きな失敗を避けられるでしょう。
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業務効率化やコスト削減の手段として有効なクラウドPBXは、従来のビジネスフォンと比べて多くのメリットがあります。しかし、導入・運用を成功させるためには、デメリットについても理解することが重要です。
クラウドPBXの導入にともなう「通話品質」「既存電話番号の引き継ぎ」「セキュリティ」「拡張性」などに対するリスクは、事前に対策することによって解消できます。
自社のニーズに合わせて複数の観点からクラウドPBXサービスについて比較し、最適なクラウドPBXの選定・導入を進めましょう。
クラウドPBX SPICA(スピカ)|クラウドPBX NAVI